ようやく暖かくなってきたかと思えば、肌寒い日も多い春。
 天気も安定しないので、気温差で風邪も引きやすい時期ですよね。
 
 皆さんはこんなとき、どんな風にお酒やおつまみを選びますか?
 
 今回は、季節の変わり目に知っておきたい気温・体温に合わせた「お酒の選び方」についてご紹介します。
 
 いつもはビール・日本酒しか飲まない!という方も、知っていると晩酌タイムがちょっと楽しくなるかもしれない豆知識をお届けします。
 記事の終わりには、珍味専門店がセレクトする酒類別おすすめ珍味のご紹介も。
 是非、最後までお付き合いください。
お酒は体を温めるのか、冷やすのか。

雪山で遭難したらブランデーを飲む。
 寒い地方は強いお酒を飲んでいる。
 お酒を飲むと体がぽかぽかしてくる。
 
 お酒を飲むとなんとなく体が温かくなるイメージ、ありませんか?
 でも実は、お酒は体を冷やす可能性がとても高い飲み物です。
 
 お酒を飲んで体が温かくなったと感じるのは、アルコールによって血管が拡張するため。
 血管は血液と一緒に熱も運んでいるため、血管が拡がって運ばれる熱が増えると体温が上昇します。
 
 体の表面に近い血管も拡がることで、放出する熱の量も増えていきます。
 お酒を飲むと顔が赤くなったり汗を掻いてしまうのは、この熱の放出によるもの。
 
 つまり、アルコールで体が温まるのは一時的な状態。
 お酒を飲む=体が温まるというわけではなく、むしろ放っておくともっと体が冷えてしまいます。
お酒を飲んで温かくなったからと言って、薄着になったり寝落ちするのは要注意!
 アルコールの作用で一時的に血管を開き熱を放出するため、酔っている間に熱は大量に抜けてしまいます。
 お酒を飲んだあと路上で寝てしまい急死するケースは、日本でもいまだにあるそうです。
 寒くなったときにすぐに着直せる服を着たり、眠くなったら布団に入って寝るように気をつけてくださいね。
とは言え、体が一時的に温まるのも、温まった後に冷えるのも、活用しない手はありません。
 気温や体温に合わせたお酒を選ぶことで、その時期にぴったりの飲み方ができます。
 ということで、代表的なアルコールの中でも、比較的体が温まりやすいお酒と、体を冷やしやすいお酒を2種類に分けてご紹介します。
体を温めるお酒
- 日本酒
 - 紹興酒
 - 赤ワイン
 
体を温めるお酒と冷やすお酒。大きくは「原料」の違いです。
 
 日本酒の原料はお米。
 白米に含まれているアミノ酸は、血管の拡張作用があるとされています。
アルコールと同じく、血管が拡がることで体温が上がりやすくなりますが外気温が寒いとその分冷えやすくなります。
 ゆっくり飲みながら温かい格好をすることで、体を温めたまま保ってくれそうですね。
 
 寒い地方で飲まれる紹興酒は、もち米と麦麹を主な原料とします。
 もち米は、白米と比べても胃を温める効果が高いと言われています。
 後述する麦も麹として含まれていますが、発酵しているため通常よりも体を温めてくれやすくなっています。
 
 赤ワインの原料はぶどう。ワインの場合は「赤」であることがポイントです。
 赤ワインに使用される色のついたぶどうの果皮や種子には、ポリフェノールが豊富に含まれています。
 白ワインが白ぶどうの果汁だけを使用しているのに対し、赤ワインでは果皮・種子ごと発酵させるため、ポリフェノールを損なわずに摂取することができます。
 赤ワインには、なんと500種類以上のポリフェノールが含まれていると言われており、その中には血管を拡張させたり柔らかくしてくれるものもあります。

ホットワインも、ほとんど赤ワイン!
どのお酒も、温めて飲むことでより効果が高まります。
 また、温かい飲み物は結果的にゆっくり飲むことになるため、二日酔い防止という点でも効果的な飲み方です。
体を冷やすお酒

- ビール
 - ウィスキー
 - 焼酎
 
一方、体を冷やすお酒と分類されるビール・ウィスキー。
 
 どちらも、麦が原料のお酒です。麦は基本的に体を冷やす食材。
 
 一説に、体を冷やす食材にはカリウムが多く含まれており、このカリウムの作用で熱を体外に排出して体温を下げてくれると言われています。
暑い日に飲むといいとされる麦茶や冷汁に使われる麦味噌などなど、私たちも何となく「麦は体を冷やしてくれるもの」と認識しているのではないでしょうか。
 
また、ウィスキーなどの蒸留酒は、醸造酒と比べ高アルコールのものが多いです。
 それもあって、高いアルコールで急激に体温が上がっても、酔いが醒めるとその反動で一層体が冷えてしまいます。
 どんなに暑い日でも酔うと体温は下がり気味になるのですが、体を冷やす原料が使われているとより一層冷えそうな気がしますよね。
 
 焼酎は、原料は多岐に渡るものの蒸留酒の分類。
 日本酒が飲まれていたにも関わらず、九州や沖縄で焼酎がこれだけ愛されたのは、飲んだ後に暑さが残らないことも一因にあったのかもしれません。

現在でも、本格焼酎の出荷量は九州が9割を占めるそう
体を冷やすお酒を飲む時は、体を温める食材を使ったつまみと一緒に飲むか、お酒自体を温めて飲むなどの工夫をすることで冷えが緩和されます。
旬のおつまみを楽しむように、お酒の飲み方にも季節感を取り入れてみるともっと楽しみが広がりそう。
 風邪を引かないようにしっかりと体を温めながら、美味しく楽しく、お酒と珍味を楽しんでくださいね!
              
            


